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ホーチミン市に駐車場を増やすためにITができること

Publish: : 日本語 / Japanese

大規模な駐車場ビルの建設促進

機械式立体駐車場(Made in Japan)

ホーチミン市は集積度の高い都市で、最低でも3階建てのビルが、隙間なく立ち並んでいる。前頁で検討したコインパーキング型の小型駐車場は、特に一区や三区などの市中心部では供給能力に限界がある。そういった地域では、平面ではなくて立体の駐車場が求められるだろう。

これはコインパーキングのようなテンポラリな施設ではなくて、恒久的な収益物件を建築するということである。土地と建物の両方に資本が必要だが、資本を投下してもきちんと回収できると判断されるのならば、むしろお金の動きやすい分野であるといえる。

立体型の駐車場にはいくつかの形式がある。大きく分けると自走式と機械式がある。
繁華街に近い立体駐車場といえば、日本には機械式のものが多く、日本人の目には見慣れたものであるが、あれは世界的には珍しいものであるらしい。街頭に立ち並ぶ自動販売機とともに、日本独特のOnly in Japanな光景と映るようである。この評価はサンプル数が少ない、主観的すぎる意見かもしれないが、Parking StractureでGoogle画像検索をしても、Multi-storey car parkでWikipediaを読んでも、そこに出てくるものは自走式の立体駐車場ばかりである。

Parking structure (google)
https://www.google.com/search?q=Parking+structure&hl=ja&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=NYwMU-L3NcXNiAf514CgDg&ved=0CAoQ_AUoAg&biw=1310&bih=779

Multi-storey car park (Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Multi-storey_car_park

自走式立体駐車場(Wikimedia commonsより)

自走式立体駐車場(Wikimedia commonsより)

前述のとおりホーチミン市中心部は集積度が高く、まとまった面積の用地を確保するのは難しい。つまりここは、機械的立体駐車場に向いた都市である。建築、運用ともにノウハウのある日本企業が活躍できる場である。韓国や中国に押されて青息吐息の日本企業としては、ひさしぶりにMade in Japanと言い張れる分野だ。

三菱自動車要エレベーター(PDF)
http://www.mitsubishielectric.co.jp/elevator/product/list/order/car/image/pdf/c-c01-6-c7414-f.pdf

機械式立体駐車場普及のためにITができること

基本的にはITは関係がない。ビルを建てるのと同じなのだから、建築や融資といった問題であり、そこに日本企業なりがいかにセールスをするかという話である。
ただ、回転率をあげて収益性を良くするほうが、経営的にも当然望まれるわけだし、そうであったほうがより多くの駐車場が建設され、渋滞が減るわけだから、前項のコインパーキングで検討した「オープン型のリアルタイムの空き駐車場情報通知システム」は、この大型機械式立体駐車場でも有効であろう。

ただ、もうちょっと野心的な未来も期待してみたい。それは、ITによるビッグデータと金融工学の合体である。

道路混雑状況のデータは、すでに取得することができる。これがビッグデータとして公開されれば、どこに駐車場を作ればどのぐらいの渋滞減少効果が望まれるかはかなり精度の高いシミュレーションが可能になるだろう。
これに駐車場の平均収益率を掛ければ、その駐車場施設がどれぐらいの収益をもたらすかを予測することができる。

このシミュレーションは、日本でコンビニエンスストアの出店の際に使われているものであり、それほど珍しいものではない。元になるデータが人間から車に変わるだけだ。
また、駐車場の収益率は、経営の上手さ下手さによる差が出にくいので、かなりばらつきの少ない正規分布になるだろう。つまりこれは、金融工学によって債権にしやすい市場である。

クラウドファウンディングによるホーチミン市駐車場債

これを金融商品と考えてみると、条件は悪くない。駐車場の供給不足というトレンドや、駐車場そのものの需要のトレンドは、短期的に変化しにくい。5年後に我々がスマートフォンを使っているかどうかは誰にも分からないが、5年後も車に乗っていて、車には駐車場が必要で、駐車場は不足していて、より多くのベトナム人が車にのるようになる、という予測は、たぶん外れない。ここに破滅的なイノベーションが起こって、これらの条件が満たされなくなるという未来は、ちょっと考えにくい。

近隣での新たな商業施設の解説や、新しい道路の開通、競合する駐車場施設の開業により、当該の駐車場の収益性は変化していく。それを一番正確に予測できるのは、ホーチミン市民だ。日々この街でバイクや車を運転し、渋滞や駐車場探しで困っているからこそ、「あそこに駐車場ができたときどれぐらい儲かるか」は肌感覚で分かる。外国人の資本家や銀行家などよりもよほど正確に予測ができるはずだ。だから、この金融商品は、小口にして、ホーチミン市民自身が購入できるものであるほうが、マーケットメカニズムがより正しくリスクを評価するという意味において、望ましい。つまり、クラウドファウンディングとするのである。そのための金融商品化である。

大きなビルを建てるのは、大資本の仕事である。大きな会社が、大きな金融機関から、大きなお金を借り、そして大きなビルを建てる。このホーチミン市にもそういった、企業のブランドを関した巨大ビルが続々と建築されている。それはそれでよい・・・のだが、ビッグデータをもとに、市民の生活に直結する施設を、金融工学で債権化し、クラウドファウンディングにより市民自身がそれを買い、それで儲ける。車が増えて大渋滞都市になるというとネガティブだが、本来はベトナムの経済成長ゆえに発生することであり、市場的には圧倒的な需要過多で供給不足なのだ。経済成長の果実を、債権化して市民自身に還元しようということである。

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